安さの裏側の危険。
まず… 〝安い〟とか、〝安さ〟ときいて、どんな気持ちになりますか?

値上がりラッシュな今の時期で言えば、『やった!』とか、『うれしい!』とか、『ラッキー』 なんて思う人が大半なんじゃないのかな。 買う側の心情からすれば、〝安く買えるのは嬉しい!〟 ことなんだと思います。
安さは…
反面、安さについては弊害もあります。
広く知られているのが、巡り巡って、自分も〝安く〟なってしまうという点です。 周りが安いということは、『高い』原資がなくなっていくというわけで、となれば自分への実入りもそれなりに低くなっていくというわけで。 今の時代の〝給与があがらない〟というのがそうですよね。 いわゆる、デフレっていうやつです。
なので、安いのがいい って思われるかもだけど、一概にそれが有益であるとは言えないんです。

(やば… スタグフレーションに突入してるのかも。。(^_^;))
で、これを商売の側面でみると… 商売の原則的な面で言えば、『安く仕入れて高く売る』 というのがありますよね。 商売の感覚でいえば、『安さは美徳だ』的なニュアンスで語られる場合が多いのかもしれません。
原則的に、仕入れ値を抑えるというのは基本中の基本。
でも、それが余りにも低いと本当にそれでいいのか? って思うんです。 確かに、安く仕入れれることはありがたいこと… なのでしょうけど、その水準が極端に低い場合には、『ものすごい弊害』が眠っている… ということが言えると思うんです。
あっ! でも、今回お伝えしたいのは、安いものは粗悪品のリスクが大きい… という類のこととは違います。
一時(いっとき)はいい。 けど、将来に向けてはアカンやつ。
仕入れに関して。
モノづくりで多いのが、自分のところでは加工できないものを外部にやってもらうという流れです。
外注さんに依頼してパーツを作ってもらったりとか、外注さんから出来合いの物を仕入れるとか。 いろんなパターンがあると思います。 お願いする側からすれば、安ければ安いほどいい! っていう思いがありますよね。 だから、相見積をとって交渉したりするのがそれです。

例えば、仕入れたパーツを1万円で売るを仮定したとき。
その仕入れ値が、8000円の場合、5000円の場合、1000円の場合 などと考えると、1000円で仕入れれる方が多くの利益がでる というのは自明ですよね。 小学生でもわかる計算です。
喜んでばかりじゃいられない!
で、安くやってもらえるところがあって、よかった!! だなんて、でも… 安いのが良いっていっても、安すぎるのも考え物なのだと思えるのです。 安過ぎる仕入れは、のちに苦悩を生うんでしまう可能性が高くなるということです。
そう、喜んでばかりじゃいられない!
どういうことか? っていうと、それは仕入れ先との関係性です。
安くやってもらえるところが見つかって、その時は『安く仕入れられてええやん!』 って、思いますよね? でも、注意しておきたいのが、その外注先さんとの将来にわたる関係がどうなるかという点です。

そんなもん、付き合ってみないと!
って、当然そうですよね。 その気持ちもわかりますし、将来に渡ってその仕事がどれだけ続くか未知だという場合もあるでしょうから、そういう風に思うのも仕方がないです。
このことは、その仕事がその場しのぎ的な単発で終わるのであれば、特に問題はないのかもしれません。 問題は、仕事が長期にわたる場合で、そことの関係が途絶えたとき… に生じるんです。


関係が途絶える… とは、相手が廃業したとか、対応できない事態になってしまったとか、もしくは、何らかの要因で取引が終わってしまった… とかです。
安さに甘んじて将来を見据えていない場合、ダメージは大きくなります。
相場は知っておくべき。
と言う意味では。その仕事に対する相場的な価格は、知っておくべきだと思います。


もし、その仕入れ値が世間の相場よりも格段に安かった場合(または、安くさせていた場合も含む)、その仕入れ値で他がやってくれるのかどうか? という大きな問題が発生します。
仮に、運よく引受先が見つかったとして、自分たちのマージン(利益)を考えた場合はどうでしょうか? 恐らく、自分たちの水準での請け手は見つかりにくい、あるいは、見つからないはずです。
なんでか? って、それは世間相場とは 逸脱している からです。 その状態なら、どこも請けようとはしないでしょう。
で、もし仮に、その価格で応じてくれたとしても、今までの品質が担保できるのかどうか?
_疑問が残ります。
長い付き合いのところほどに〝闇〟ができる。
概ね… って、これは私見なのですけど…
古くからの付き合いのところほど、『価格』のギャップが生じやすいのだと思えます。 例えば、先代からの付き合いで~ ってのがそれです。 親父(先代)がやってきた価格が改訂されず現在まで… というパターンです。
昔の職人さんたちって、自分の仕事の価格に対する改訂などには無頓着なところが多いと思われるので、弊害がでやすいんですよね。



ええわ。 まかしとき! やったるわ!
という感じで初回(付き合い)が始まって、そしてまた、その先代からにしても『大した仕事はしてないから、値段もとれん』というプライドがあったりして…
で、いつの間にか、それがずっと続いて、気が付けば価格も据え置き… と言うパターンがそれ。
仕事を依頼する側も、それに甘えて価格の見直しはしないし、上げられると困るんで黙ってる。 で、請け手が、価格交渉してきたときに、牙を出す… と言うパターンも。
仕事を〝蹴られる〟リスクは、共にある。
けど、その仕事を請ける側にも多少の問題はあると思うんです。
例えば、取引の年数が経ってきて関係が深くなった場合、依存の状態になってる可能性が高いわけで…
そうなると、価格交渉しようものなら仕事が途絶えてしまう… なんていうリスクを考えてしまうと、何もいえなくなってしまうというのがあります。 そのくせ、『安いからな!』 と不平とか不満、愚痴をこぼしながらやってるのがそれですよね。
でも逆の視点で考えてみると、それが相手にとっての『圧倒的な安さ』だとするなら、その〝安さ〟を武器に交渉できる… のかもしれません。 なので、あくまで〝対等に〟と言うスタンスで、定期的に価格交渉を図っていくのが望ましいと思われます。(言うは易しな面はあるのですけども…)
また、仕事を依頼する側の視点で考えた時、もし、そこが仕事を請けてもらえなければ成立しないわけですから、相応の覚悟がいるというわけ… なのでしょうけど、たいていの会社はそういうことを理解していないパターンが多い気がします。
相場よりも〝安すぎる価格〟で仕事をしてもらっているとするなら、そういったことへの覚悟も大きくなっている可能性が多くて、また、そこにも注意を払っておくべきだと思うのです。
実際のところ、その『安すぎる』相手との関係が終わった時に、アタフタとしてしまうんですよね。 最悪、次のところが見つからなくて、失注、あるいは最悪、事業撤退とかも。
『適正』な価格で。
結局は、『適正』な価格帯でのお付き合いが一番いいということです。
相見積などで、その仕事に対する〝相場〟感をもっておいて、それに対して前後どれくらいまでなら.許容できるのか? と言うガイドラインを持っておくという方法が適当なんだと思います。.


適正な価格(と思われる)の下でお願いしているのであれば、仮に、依頼先との取引が終わってしまったとしても、すぐに他を見つけることができます。 というか、探しやすいです。
まぁ… 『我がの利益優先で、買い叩く』 ような仕事をしているようなところは、いずれ報いがくるということなんでしょうし、他方、安い価格が善意だと思って、安めで請けるというのもちょっとどうなんだろうっていうことでしょうか。
ともあれ、定期的に相場観を調べて、知っておくのが賢明なのかもしれませんね。
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