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楕円軌道のメカニズム。

機械を考える上でキーになること… っていうと、何だかご存知ですか?


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さて、今日のテーマは…

機械の要(カナメ)な要素。

恐らく、大部分の機械では、その構成、構造上の『要(カナメ)』になるのだと思えるのが、

搬 送

なのだと思います。 

「搬送」とは、つまり、どんな風に〝物〟を運ぶか? ということで、運ぶは、移動させるとも言い換えることができます。 アプローチを考えると〝運ぶ〟という行為を、人手でするにせよ、機械でやるにせよ、その対象となる物、〝そのもの〟を運ぶのか? それとも、対象となる物をに対してそれに向かうのか? 色んなパターンが考えられます。

いずれにしても〝搬送〟は機械を考える上で重要な要素になります。 搬送の仕方次第で、機械の優劣が決まると言っても過言ではないのかも… と思ったりします。

どんな風に?

うちが得意としているのが〝ブリスター包装機〟という包装機械なのですが、機械構成を考えていく上では、包装の際に用いる〝型〟をどんな風に搬送させるか? ということがテーマになります。

得意な搬送形態は…

ブリスター包装機を製作するにあたっての得意な搬送形態は〝ターンテーブル〟を用いた方法と、コンベアタイプと呼んでいる搬送形態です。 いずれも、大社長(親父)が今の会社を興す以前より製作してきた形態です。

こと、ターンテーブル型の搬送形態はコンパクトな設計ができて、手軽な形になるので、仕様上支障がなければこの形態を採用しているという感じです。 コンベアタイプは独立する以前の主流だったみたいです。 ちなみに、コンベアタイプはキャタピラみたいなイメージです。 

それぞれの弱点。

ターンテーブルでも、コンベアタイプにしても、それぞれ得手・不得手な側面あります。 

まず、ターンテーブルについては円形のテーブルを回転させるという円運動になります。 扱うワーク(品物)が小さい場合にはテーブルの直径も小さくできるので特に問題はないのですが、ワークが大きくなると当然、直径が大きくなって、回転・停止させる際のイナーシャ(慣性力)の影響が生じやすいという問題が生じます。

最近では、2個同時に処理するというパターンも増えてきたので、それに伴い、テーブルの直径も大きくなるという傾向にあります。 また、テーブルの円周上に作業スタッフや器材を配置することになるので、そのレイアウトを考える上で難しくなる場合があったりするのです。

コンベアタイプにおいては、型枚数の問題が一番大きいです。 問題になるのが、実際に使用できるのが〝機械上面にある型〟だけにも拘らず、型を送るためには下側にも必要であるという点です。 

構造上、当然と言えば当然なのですが、実際の処理を考えるとそれが非常に無駄に思えるのです。

新しい方式の模索。

ターンテーブルとコンベアタイプの弱点をカバーできるような方法がないものか… と、実はず~っと考えていたんです。 

ある時閃いたのが〝楕円形の軌道〟でした。 

楕円軌道。

楕円軌道とは、その名の通り〝楕円形上な軌道〟をもった搬送方法です。 軌道上に直線部分がとれるので、スタッフや器材のレイアウトが考え易く、また、型枚数も必要最小限でこと足りる… という夢のような搬送ラインだと思ったのです。

で、その当時、たまたま出会った案件で〝楕円軌道はどう?〟というお話をさせて頂いたところ、

いいんじゃね!

との許可を頂いたので、早速その方法でトライすることにしたんです!

安直に考えたのが…

楕円軌道を考えた時、単純に2つのスプロケットをチェーンで結んで、そこに型を付けていけばいいや! なんて、安直に考えてやったんです。 こんな感じで…  

ちなみに、動画がこれ。

確かに、楕円軌道にはなるにはなったのですが… なんか、思ってたのと全然違くて… 滝汗 

実際に型をつけ、組あげていくと型の位置が定まらない、決まらない… という大きな問題が発生… 

旋回する部分で型が振り回される格好になって、位置が決まらないのです。 位置決めができないと資材供給時に支障がでてしまいます。 これが致命的でした。 この問題を回避するため、強制的に位置決めを行うようエアシリンダを取り付けたり、様々な工夫を施して、なんとか対処。

楕円軌道への考えや捉え方が甘くて、思慮が足らずに… おくびにもスマートな機械とは言えず… 撃沈でした。 客先には非常に迷惑をおかけした機械となったのでした。 それでも、何とか使って頂けて、ありがたい限り。

裏話し。

楕円軌道を思いついて、参考にしたのがアメリカのとあるメーカーの機械でした。 

その機械の楕円軌道は、動画で見てる限り、スムーズ且つ、滑らかな動きで、搬送過程に無理がなく、ほんと素晴らしかったのです。 それが、〝簡単に〟成り立っているように思えて… そこが誤算でした。 

当然、アメリカのメーカーの機械では〝強制的な〟位置決めなどをしていなくても、ピタッと停まってる。 そのカラクリが全く分からず…

楕円軌道のブリスター包装機を納めた後、その〝カラクリ〟が知りたいという欲求に駆られて、その年にタイミングよくシカゴで開催されていた〝PackExpo〟へ情報収集にでかけたのでした。 

PackExpo2016

そのメーカーが出展してるのはPackExpoのページをみて知っていて、でも、どんな機械が展示されているのかはわからず… それでも、衝動には勝てなくて… という感じで行ってきたんです! 約20数年ぶりのアメリカ。 且つ、今回はひとり旅だったんですけどね。w  

結果、出ていました! けど、肝心のところはカバーで見えなかったのだけど、〝何となく〟機構が見えたので、アメリカから戻ってきて早々に、試作してみました。

改・楕円軌道。

試作で作ったのがこれです。

動作を動画で。

動作を動画でご覧いただけます。

思い通りの動きができて、感動しました!

リ・モデル。

先述したお客さんへは、オーバーホールの要請を受けた際に新しい楕円軌道モデルへの改造を提案し、改造を行いました。 大改造だったのですけど、滑らか、且つ安定した動きになって、ものすごく喜んでもらえました。

使い勝手よく。

ちなみに、うちでは楕円軌道の搬送を〝トラック搬送〟と呼んでいます。 トラックとは、陸上競技場などのトラックで、楕円の形が同じなので、そんな風に呼んでいます。

アメリカのその会社では〝カルーセル〟と呼んでるみたいです。 カルーセルとは、回転木馬とか回転台の意味があるようです。

楕円軌道… トラック搬送は使い勝手がすごく良くて、重宝しています。 ただ、少し難点を言えば、設置面積が大きくなるきらいがあるということです。 が、必要最低限の型枚数であることと、直線部分がとれるのでそれが大きな魅力です。


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