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包装資材としての原料袋のコストダウン そのアプローチとは?

包装の目的には、大きく分けて2つのタイプがあります。 

それは、直接〝商品の顔〟になるような販売に対する訴求効果が求められる包装と、もうひとつが、BtoBのような企業間での取引のために用いられる包装です。 

単純な感覚で言えば、前者が〝お金をかけてでも!〟という感覚で、後者が〝できれば、お金をかけたくない〟という感情になるのではないでしょうか?


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さて、今日のテーマは…

コストダウンへのアプローチ。

原料などを入れるときに使われているクラフト紙でできた袋をご存知ですか? 米袋やセメントで使われる袋をイメージされるとわかりやすいと思います。

米袋

この場合での包装資材は、原材料を運搬するということを主目的に用いられます。 その点を考えると、少し乱暴な言い方かもしれませんが、こういった包装資材には〝訴求効果〟などの意匠性は特に必要ないと考えられます。 とするなら、なるべくならそのコストも見直したいですよね。 こういった包装資材でのコストダウンへの取り組みは一考の余地があると思います。 

これからお伝えするのは、あまり知られていない〝とっておきの〟コストダウンへのアプローチ方法です。

「コストダウン」へのイメージは?

まず、少し質問です。 

包装資材への『コストダウン』と聞いた時、あなたはどんな方法をイメージもたれますか? 

もしかして、

コストダウン?
そんなもん、メーカーに言うて
半値八掛けで入れさせれば済む話や!

などという考え方で思われているんじゃないでしょうね? 

実際、ボクの前職時代の購買部門のおっさん… いや、オジサマがそんな風なやり方で資材購買をされていたようですけど…。 苦笑

最悪の方法。

仕入れ先に恫喝的に圧力をかけて単価を叩いて購入する… などということをすれば、資材のコストダウンは図れるのかもしれませんね。 しかし、その方法は、もっとも最悪な方法です。 何が悪いのか? って、それは自明です。

ビジネスとはいえ、人として… というのが大前提です。 かつ、そのやり方では、相手への感情的にも、後々のお付き合いを考えても、資材の品質を考えても… 何についてもいいことが起きないからです。 ちょっと相手の立場で、よく考えてみてください。 

単価を〝無理やり〟下げられた資材メーカーの気持ち的には、恐らく、

あ~、うっとうしい。
でも、値下げに応じないと
仕事がなくなるの嫌だし。
値下げは嫌だけど、やむを得ない。。

と、値下げに応じた分のマージンを挽回しようと、資材への材質を落としたり、制作や検査の工程を省いたりといった『品質や工程をケチる』ような方法で対抗しようとする可能性があるのです。 

もちろん、資材メーカー側は、値下げに応じた以上、その品質も担保しながら、資材を卸す義務があります。 でも…

単価が下げられたら彼らからすれば、自分たちの利益が圧縮されてしまうのですから、どこかで補わないと経営上厳しくなってしまいます。 なので、何かしらの手段で、そのギャップを補おうとするというわけです。

もし、それが材質を落とすなどといった品質の部分に関わっているとしたなら、それを使う側、即ち、あなた方の作業環境にも影響がでてしまう可能性が高くなります。

無理な値下げは、作業にも影響する。

その理由は、包装資材とその資材を用いる機械の関係にあります。 概ね、内容物の充填は、専用の機械で行われます。

即ち、包装資材の品質が低下するということは、機械上での取り扱いに難が生じてしまうということです。 例えば、開封や封かんなどといった処理時に異常が生じやすくなり、処理が停滞してしまうといった事柄です。 こと、包装資材を扱う機械での動作は、包装資材のそのものの品質に影響を受けやすいのです。

また、仮に、工場内での処理がうまく行えたとしても、流通過程での品質に影響がでてしまう可能性もあります。 そうなれば、会社そのものの信用にもつながってしまいます。

少しオーバーかもしれませんが、そんな風にコストダウンを安易に実行してしまうと、思いもよらぬことが起きるということです。 

では、どうすればコストダウンが図れるのか? その方法を紹介します。

考え方を変えてみる。

その方法とは、『包装資材に対する考え方や捉え方を変えてみる』 ということです。

? それって何??

と思われるかもしれませんね。苦笑 

どういうことかというと、こんな感じのことです。

デザインを見直す。

結論から言うと、表面の表記的なデザインを見直し『共有化を図る』ということです。

使用する包装資材が〝同じサイズ〟で〝同じ形状〟の場合でも、銘柄毎に資材を制作し、運用しているというケースがほとんどです。 仮に、製品が5種類あったとすれば5種類の資材になるということです。 

冷静に考えると、〝同じサイズ〟で〝同じ形状〟であるにもかかわらず、

『分別・管理』をしなければならないという状況に陥ってしまっている

という… 

銘柄としての製品の種類が少ない場合は、コスト等を含め、それほど気にならないことなのかもしれません。 しかし、種類が増えてくるとどうでしょうか? 

銘柄ごとに包装資材を分けて… という方法は、管理スペースの問題に加えて、作業性の面でも問題になってきます。 

たとえば、管理棚から該当する資材をピックアップする際に、間違えてしまうなどというミスがそれです。 もし、誤りに気が付かず流通してしまえば、会社の信用・信頼も失ってしまいます。 

またこれは、資材メーカー側の立場で考えても同様のことが言えます。 種類を分けるということは、資材メーカーにも〝分別・管理〟の手間が生じるということです。 つまり、その手間部分が制作時の単価に反映されてしまうというわけです。

合理的な方法。

コストアップへの要因が〝銘柄にわけること〟であるなら、これを逆に考えれば、『銘柄に分けなければ』コストが下がるということです。 極端に言えば、無地の包装資材にすれば、資材メーカーでのそもそもの分別・管理などが不要になるので、資材の材質や品質を変えることなく卸単価を下げることができるはずです。 

また、無地の場合では、資材受け容れ後の銘柄ごとの分別・管理が不必要になり、作業を簡素化することができるためコストダウンにつなげることができます。

とはいうものの… 無地の場合では、銘柄の名前はもちろん、それを製作している会社の名前すらわからなくなってしまうという問題が発生してしまいます。 

しかしこの問題は、社内で対応するという方法で簡単に回避できます。 …なのですが、表記に必要な全ての情報を社内で対応するとなると作業が煩雑になり、かえってコストアップになってしまう恐れがあります。 せっかく、資材単価が下げれたとしても、これでは元も子もありませんよね。 

そこで、資材の制作時には会社名など全製品を通して〝共通化〟できる項目のみに限定して印刷を行い、製品名や内容物表記などといった事柄のみを社内でという方法を用います。

そうすることで、社内での作業がよりスムーズになります。 また、この方法では、必要な時に必要な枚数だけ対応すればいいため、不良在庫の削減にも有効です。 ただし、社内での対応には、その手段の採択に若干注意が必要です。 

コーダー(輪転)式捺印での対応。

原料をいれる用途での袋のような包装資材の場合、以前より輪転式のコーダーなどを用いて、必要事項の捺印が行われてきました。 なので、一部の(進んだ)会社さんでは、前からそういった方法でのコストダウンの取組みはあったようです。 

しかし、ゴム判を用いるコーダーには、その取扱いや作業性に、潜在的に以下のような問題があります。

1.汚れる。

ゴム判の交換時に作業者の手が汚れたり、対象物が汚れてしまう。

2.付け間違え。

ゴム判の交換時に、取り違え、付け間違えといったミスが起きやすい。

3.管理の問題。

ゴム判自体が消耗品になるため、部分的な欠損、破損があり得る。 新品への交換を怠ると、捺印に影響が生じてしまう。

これらにより、作業自体が煩雑になってしまうきらいがあります。 特に、付け間違えに関してが会社として致命的な問題になってしまう可能性が高いのです。 また、ゴム判による方式ではトレーサビリティ(追跡性)が確保しにくいため、最近の社会的な動向を考えると、その点に関しても問題になりえます。

とはいえ、こういった問題が内在していたとしても、その方法しか選択の余地がなかった時代ではやむを得ないことだったのかもしれません。


しかし、より技術が進歩した現代においてはどうでしょうか? 

産業用インクジェットによる対応。

ゴム判を用いたコーダーに代わる方法として、IJP(産業用インクジェット)による対応を挙げます。 

IJPを使えば、ゴム判の交換作業が不要になり、それに伴う作業上のミスがなくなります。 また、印字内容をデータとして管理できるため、トレーサビリティが可能になります。

しかし、ただやみくもにIJPを導入してしまうと、逆に失敗してしまうことも… では、どのようなアプローチでIJPを導入すればいいでしょうか?

失敗しない IJP でのアプローチ。

IJPを導入すれば、すぐに資材のコストダウンが図れるのか? 

…と言えば、答えは〝NO!〟です。 コストダウンの成果をあげるためには、それなりの事前準備が必要です。 きちんと準備をして取り組まないと現場での作業に支障をきたし、かえってコストアップしてしまう可能性があるからです。

IJPの運用を考えていく上での失敗しないコツは、印字対象とする内容の精査と、それに伴うデザインへの対応と、変更後の実際の運用へのプランニングです。

なお、印字の内容にもよりますが、IJPを用いた運用では、IJP自体の性能・仕様が大きく関わってきます。 なので、当然のことながら、自分たちのデザインが満足できるスペックをもったIJPを選定する必要があります。 

デザイン上での印字内容や文字高さなどをIJPのメーカーに伝え、機種選定を行います。 その際には、実際の包装資材にてサンプルを作ってもらい、運用していくにあたってのランニングコスト(インク代や各種消耗品に係るコスト)もしっかり確認しておくのがベターです。

IJPを使った運用では、どのようにオペレーションを行っていくのか? ということも重要なポイントになります。 

付帯設備をどうするか?

IJPには、それ単体では印字ができないという特性があるため、円滑な印字作業を行っていくために、どのような付帯設備で対応するか? ということが運用にむけたテーマになります。 この時、十分に考察すべきポイントが『対象物のハンドリング(取扱い)』についてです。 

ちなみに、付帯設備の捉え方は、設備に投入する資材を〝手動〟で行うか? それとも、『自動』で行うか? の大きく2つです。 これらは、今後のオペレータへの作業性や作業効率などにも大きき関わってくるため、十分な検討が必要になります。


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