朝が寒いのは嫌だな。起きるのがつらい。 けたろーです。
さて、今日の話題は… 機械での電機制御屋さんのこと。
機械に占める電機制御のウェイト。
うちは機械を作っているのだけど、最近の機械の事情はと言えば、昔と比べて〝電機制御がカナメ〟的になってきてます。
昔と今では…
昔はメカニズムが主体で、制御と言ってもリレーを並べて事足りるようなそんな制御が主で、電機制御に係るウェイトはそうでもなかったんだけど、今は、その比率が確実に逆転していて… まぁ、機械の種類にもよるだろうし、規模とか、仕向け先にもよるんだろうけども。(^_^;)
あ、当然のことながらコストの方もそれなりになってきてるわけです。 昔は、機械の見積り総額の1割くらいが電機制御の部分という規模感だったのが、今はもっともっと上。
ヘタしたら、大部分が電機制御に係る費用だったり。 センサーを一個追加するだけでも電機制御に絡んでくるので、そう考えれば、カナメになるというわけですよね。
また、多品種小ロットへの対応が多くなってきて、それに伴って、単軸ロボットだったり、サーボモーター、あとは、各種センサーの搭載頻度が高くなって、おのずと制御の役割が増えてきたという感じですね。
ちなみに、うちはブリスター包装機という包装機械をメインで設計・製作してます。 カスタムなので、つど、形式形態は変わります。 ↓のような楕円軌道な装置とか、ターンテーブル型を得意としてます。
なんで、制御のウェイトが増したか?
何ゆえ、多品種小ロットになったら電機制御のウェイトが増えるのか? といえば、
機械に仕掛ける対象製品に対するサイズチェンジや位置決めなどの自動化というのが大きいのだと思います。 当然、手動ハンドルなどでも多品種への対応ができますが、サーボモーターやロボットを使えば、回転速度、位置決め等の制御が楽にできるというのもあったり、また、昔に比べて、それらの価格も下がってきたというのもあります。
加えて、位置決め機構などを自動化すればミスオペレーションを軽減できるというメリットもあって、スタッフの確保が難しいという現状を考えると、電機的な制御に置き換えて、極力、操作を簡単にする流れにあるということも一因ですね。
機械設計をしてての以前は、ある設計士から〝機械の動きを電機制御に頼るな!〟と言われたことがありました。
でも、今を考えると、頼らざるを得ない感があるのは否めないです。 カム・リンクなどのメカニズムだけで機械を実現するには、機体自体が複雑になりえて、コスト的にもかなり大掛かりになってしまう。 まぁ、言い訳なんだろうけども。(^_^;)
実際のところ、機械が電機制御に偏るほど初期の調整がしにくというのもあります。
エアシリンダーなどは、電磁弁のバルブを手動で開閉して動作を確認したりできるのだけど、ロボットなどの電機仕掛けになると、配線が終わって、ある程度のプログラムをいれるまで実際の動作がつかめないとか、また、制御部分ができないと全体の流れが見えてこないので、機械的な修正や改善なども、制御待ちな面が多くなりつつあるのは現実としてありますよね。
今の時代、3Dの画面上で疑似動作ができるとはいえ、機械上のワーク(対象物)の振る舞いは、実際に流してみないとわからないことも多いので、正直なとこちょっと厄介な場合もあります。
ちなみに、うちは電機制御は外注です。
高専時代の恩師には、〝君らは、メカよりもトロをしっかりやっとけ。 これからは、トロや!〟と言われてて、自分で… と思ったこともありましたが、制御部分って、沼ってしまいやすいのであきらめました。 トラブルと別のことができないという沼です。(^_^;) ※〝トロ〟とは制御の部分を指す言葉です。
制御パートナーに泣かされてた時期。
制御部分を外注に託すのも、これはこれで一苦労なのです。 なんでか? 制御屋さんにも当然、得手不得手があるから。
過去の機体はシンプルなこともあり、電機制御にかかるウェイトもそれほどではなくて、言い方は悪いのかもだけど、電機制御屋さんに求めることもそれほどでもなかったんです。
電機配線もできる、そこそこのレベルの制御屋さんでよかった。 それにその当時は、親父からの付き合いの所為か、結構年配の方が作業してくれていました。
でも、タッチパネルだとか、センサーを付加したり、安全性能を追加したり、サーボやロボット、最近では通信の部分やエラーログの機能などを取りいれていくに従って、制御屋さんに求めるスキルも当然あがってきます。 年配者が悪いというつもりはないのですが、やはり、年配の方は経験はあるのだけど、〝今〟の技術にはちょっと、立ち遅れている感は否めなくて。
うちの場合、今は落ち着いておりますが、正直なところ以前までは制御屋さんとの巡り合いがなかなかうまくいかず、かなり苦戦だったんですよ。 もっぱら、紹介してもらうケースが多いのですが、話しを聴くだけでは当然、レベルがわかりません。 やってみてもらって、初めて相手の技術レベルとか丁寧さがわかるという感じになります。
過去にはこんな体験がありました。
意見を聴いてくれない制御屋さん
紹介してもらったある時の制御屋さんは、仕事内容をよく聴いてると配線がメイン。 簡単なリレー回路のようなことはされるのだけど、制御が複雑になってくると外注されるという感じ。 窓口が彼らだったので、制御の変更・修正をお願いすると、いちいち、窓口の彼らを通す必要があって、正直、ちょっと難儀でした。
.且つ、外注の制御屋さんは、配線はしないという。。 制御上の機器の追加がでると、また、配線担当がでてくるという… なので、時間的なロスが大いにあったのは否めないです。
ある時の機体の配線では、「このルートで配線してください」とお願いすると、聞き入れてくれないということもあったりももしましたね。 こちらが依頼主であるにもかかわらず、聞いてくれないのは解せなかったです。
あと、ある時の制御で不具合が見つかって、制御機器を変えなければならない状況になった際、
このパーツ、高いねん。
と、自己都合ばかり。
粒を計数する装置で、出荷が目前に迫っている状態で… 計数する際のセンサー信号の取り込みが高速カウンターじゃないと取り込めないということになって、
高速カウンターって、高いねん。
といいはる。 うちからすれば、当初に機械の仕様を伝えて、見積もってもらってるのにも関わらず、見積もりミスはそっちの問題なのに、それを言うのか? と。
某センサーメーカーのKエンス呼んだら、その営業は自分の製品ばかりを押しつけてきて全く埒があかなかったんで、早々に帰ってもらったということもありました。 で、最終的には、ボクが 『センサーのディレイが使えるはずなんじゃない?』 ということを話したら、何とかなったんですけどね…
スキルも見積もりもちょっとグレーだったんで、その後、彼らに依頼することはなくなりました。 見積もりは、後に調べてわかったのだけど、定価に掛けて出されてた模様。 掛けるのは割引ではなく、割増。
腕はいいのだけど。
出入りの工具屋さんに紹介してもらったというパターンもありました。 制御内容を伝えると、是非、やらしてくれ! というので、付き合いだと思って仕方なしお願したら! 最後まで完成できなくて。。 (涙)
作業してるときも、何やら考え事ばかりで全然進まない。 わからなければ、わかる人に聞けば? と言っても、うーーん… って感じで作業停止。
配線もかなりむちゃくちゃやってて、制御も全然できなくて、最終的には、そこの営業が別の得意先の制御屋さんを見つけてきて、乗り切ったという結末。 あの時はひやひやもの。。というより、できるというから依頼したのに、結局は、アサインされた担当が素人同然の方だったという感じでした。
その時の案件は、旧社名:松〇電工の仕事で、松〇には出入りしてるから、内情をよく知ってるということでそこにお任せしたのですけど、正直、散々でした。 (にもかかわらず、請求はいっぱし。苦笑)
松〇の担当からは、『配線と制御がめちゃくちゃですやん』 と言われ。(A;´・ω・)アセアセ
いい担当の方だったんで助かったんですけど、キツイところならペナルティものでしたよ。 その後、その『別の制御屋さん』とご縁ができて、しばらくは、そちらと。 そこは古くからされている制御屋さんで、結構昔のこともご存じな方で腕もよかったです。 …けど・・・ 最新のことをやりたくて、それを伝えると、
わしは、新しいのわからんねん。
と言われて。。 その他、諸事情もあってそちらへの依頼もなくなりました。
お互いにアップデートは大切だなと痛感しました。
そもそも、分野がある。
機械に分野があるように、電機制御と一口にいってもそれらには分野があります。
なので、制御屋さんを紹介して! って頼んで、紹介してもらっても合致しない場合がザラにあるのです。 なので、まず、彼らのバックグラウンドの知識や経験を知る必要がありますよね。
ある時、紹介された制御屋さんは、『計装』をメインでされていました。 機械制御もできるとのことだったのですが、スキル的には少し… ちなみに計装とは、例えば、ダムの水位監視の制御とかといった制御で、機械の制御とは少し違うのです。
また、ある時の制御屋さんは、弱電系から独立された制御屋さんでした。 配線系統が弱電の色が濃かったです。 いわゆる〝一般産業機械〟的な配線ではなく、パソコンの延長のような配線の仕方。 で、機械制御もされるとのことだったのだけど、こちらとは、若干考え方が合わず。。。
機械の制御とは。
ボクらがやってるような機械では機器的な動作が伴う、いわゆるシーケンス制御です。 それに加えて、安全性能の考え方や知識も必要になってきます。
単純に動けばいいというのではなく、異常時にどういう振る舞いをさせるか? とか、人の動きがどのように介在するのか? とか、 また、〝もしも・・が起こったら〟などという想定を踏まえて、機械の制御を決めていく必要があるんです。 安全に動くのが第一なので、安全面の考え方や知識も当然、必要になってきます。
考え方の摺合せは必要。
例えば、上下に挟み込むような動作をするシリンダーがあったとして、非常停止時にはどうするか? とか、吸着している物体があったとして、非常時にはそれをどうするのか? といった考え方がそれです。
挟み込む動作があるとき、異常が発生した場合や、非常停止ボタンが押された場合、そのまま放置しておくと、作業スタッフや製品に大きなダメージを与えてしまう可能性があります。 また、吸着している物がある場合、吸着状態を不用意に切ってしまうと、吸着で保持している製品が落下して、スタッフや製品、もしくは機械そのものにダメージを与えてしまう可能性があります。
ところが、こういった点についての対処への考え方が異なっている場合があるのです。 こちらとベースな考え方が合致している場合はいいのだけど、そもそも、そういう考え方を持ち合わせていない方もいたりするので注意が必要なんです。。
なので、そういう制御センスや経験が必要になるというわけです。
機械は進化していく。
ず~っと、同じ形態・形式の機械をつくるのであれば別なのですけど、機械は、進化していくものだと思っています。 通信制御はもちろん、処理やアラームデータのロギングとか、センサー系統のこととか、機械上で扱える周辺機器なども色んなのがでてきて、それに伴って、機械も進化するというわけです。 当然、制御もそれへの対応が迫られます。
ということは、つまり、こちらが制御屋さんに求めることも増えるということですし、逆に、色んな知識を持たれている制御屋さんから、トレンドとしてのアドバイスを頂いたりと、持ちつもたれつの関係が理想なのです。
先述した通り、互いにアップデートしていく必要があるということです。
見栄えは、配線や制御で決まる。
あと、機械の見栄えは、制御で決まるというのも実感としてありますね。
機械的にどれだけいい設計や作りこみをしたとしても、配線などをむちゃくちゃにされると台無しになるというのは否めないですし、こちらの感覚や考えと違う配線の仕方をされると… ? って思ってしまいます。
以前に経験したことがあるんですけど、制御屋さん自体のコストを下げるために、多芯ケーブルで配線すればいいところを何本も線を使ってということをされたところがありました。 当然、線の束ができるわけで見栄えが悪くなるわけです。 おまけに、電線間のジョイントが1ピンのコネクタ。 当然、ジョイント部分がかなり膨らんで、ごっつい束になるわけです。
なんだかなと。
配線を隠すようにうまく処理してくれればいいのだけど、平気で剥きだし。
なんだかなと…
後は、配線ルートの取り合いで、どう見ても汚い配線をされる場合も…
なんだかなと。
実際の機械動作としての制御センスもさることながら、現状でいうと、タッチパネルなどの画面のデザインや、配線の出来栄えも大いに関係してきます。
重要な画面デザイン。
こと、画面デザインについて。
機械と言えど人が関わる物。 動作的に満足できていたとしても、操作レベルで使い勝手がまずければ台無しになってしまいます。 それに、操作は日常的に行なわれるもので、画面に至っては、常時目に留まり、それを操作するわけです。 また、賛否はあるのかもしれないのだけど、少しの遊び心は必要だなってボクは思ってます。
なんでか? っていうと、今の世代の子らを鑑みれば、画面操作っていうのは彼らの方がネイティブだからです。 また、仕事への価値観なども変わってきてることを思えば、遊び心もいるのかなって思うのです。
そこは、ただ仕事(オペレーション)をしてればいいっていうのじゃないと思ってて、創り手は、彼ら世代が使うことも想定して、より簡単に、簡易に使えるようなUI(ユーザーインターフェース)を提供すべきなんじゃないか? って思うんですよ。
以前、システムの現場にいて、UIを提供する(考える)ようなこともやってたので、すごくそれは思います。 なので、自分が使えるタッチパネルの機種なら、ある程度の画面デザインはこちらでやるようにしてます。
機械でも、制御の部分でも。
今の電機制御をやってくれてるパートナーと話してて、やはりというか、目下の問題は次の担い手だなということで共通の認識があります。
機械をつくるのも、その制御をするのでも、担い手がいないというのが現実問題としてあります。 制御で言えば、花形はロボット制御やAIみたいな制御なのでしょうけど、機械の制御はそれとはちょっと違う面があって。
当然、向き不向きもあるし、あとは、泥臭さというのかな… こつこつと積み上げたり、そういう感じのを今の子らはあんまり好まない場合が多いのかなって思うので、後継者を見つけるのが難しいのです。
制御を含めて、機械づくりというのは、ITとか、Youtuberとか、ネットビジネスだとか、そういうのを見慣れた子どもらには、あまりにも馴染がない世界にあって、且つ、ビジネスという面からは決して優位に立てるというもんでもないので、その辺りが悩ましいなって思う今日この頃です。
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